近年、断熱効果を強化するためにリフォームする人が増えていますが、近い将来、新築戸建て住宅に対して断熱を義務付けられるとのこと。今回は断熱の義務化について紹介します。
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断熱の義務化「省エネ基準適合住宅」とは?
東日本大震災以降、エネルギー消費量の低減に対する社会的要請が強まっているなか、日々の生活でエネルギーを消費している私たちもまた、節電を図り月々の光熱費の削減を望んでいます。
日本では、1979年10月に「省エネ法」という法律の施行をはじめ1992年、1999年と法の強化がなされ「次世代省エネルギー基準」と呼ばれるようになりました。
さらに2013年10月から2015年3月までの間、法の見直しや住宅建築物への施行が行われ、2015年4月よりさらに新たな省エネ基準法が施行されますが、今現在では省エネ基準法の強制力はなく、すべての新築住宅への義務化は2020年頃をめどに実施される予定となっています。
このように、エネルギー使用に関して、建築主や建物の所有者の判断基準となる、「省エネ基準」が定められており、『省エネ基準適合住宅』とは日本の断熱化基準に適合している住宅のこととなります。
旧基準と新規基準の違い
旧基準と新基準では、エネルギー消費量の算出方法が合理化を図るために改正され、さらに住宅の設計施工指針の告示が改正されました。
つまり、改正前は設備ごとにエネルギー消費量を評価する基準でしたが、改正後は建物と設備機器のすべて(建物全体)のエネルギー消費量を総合的に評価する仕組みへと変わりました。
そして、住宅の壁や窓(外皮)の断熱性能だけを対象としていた基準に対し、改正後は新たな算出方法となった外皮の断熱性能が設備性能として評価され、建物全体のエネルギー性能を総合的に判断するようになりました。
しかし、住宅部分に係る省エネルギー基準は2013年10月に施行されていますが、2015年3月までは経過措置期間として旧基準を用いることが可能です。
新基準ではどれぐらいの光熱費が削減できる?
環境のためにも、光熱費の節約の為にも、エネルギー消費量は出来る限り抑えたいもの。実際、新基準での「省エネ基準適合住宅」では、旧基準と比べてどれほどの違いがあるのでしょうか。
目安として、年間の冷暖房費を比較してみると1992年の省エネルギー基準住宅と比べ約60%も光熱費を削減することができ、1999年の省エネルギー基準住宅と比べると約35%の光熱費を削減することが出来ます。
また、住宅の壁や屋根、床下などの断熱機能を充実させることで各部屋ごとの温度差が減り、冬場に起こりやすいヒートショックなど温度差による身体の悪影響を緩和し、健康面でのメリットも考えられます。

