グラスウールはいま、日本で使われる断熱材としては最もポピュラーな断熱材。その秘密は性能に対するコストパフォーマンスと用途に対する柔軟性が高いことにあります。
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グラスウールとは?
グラスウールとはリサイクルガラスを高温で溶かしたものを繊維状にまとめた人工繊維の一種です。もともとガラスなので不燃性であり、火炎にさらされても有毒ガスが発生しない建材です。
現在その性能とコストパフォーマンスの良さから、日本の住宅用断熱材として最も使用頻度の高い断熱材にひとつになっています。
経済産業省の調査によると平成20年度におけるグラスウール出荷量は15万トン、総住宅着工床面積は9000万平方メートルにも昇ります。今後住宅の断熱化の流れが加速するにつれ、ますますグラスウールの需要も高まるでしょう。
では、グラスウールが使われるメリットとは何でしょう?
ひとつには、その種類・サイズの豊富さにあります。まずグラスウールの性能を決めるのは「厚さ・サイズ・密度」の3要素です。
グラスウールにはひとつの要素に対して5~6種類の選択肢があるため、部屋の大きさ・構造・土地の気候に合わせて最適なものを選ぶことができます。
吸音・吸湿機能を備えた断熱材は数多くあっても、寒冷地から温暖地まで多くの地域で対応可能な断熱材はグラスウールくらいです。また、市場の流通量も多いので価格も他の断熱材に比べると安くおさえる事ができます。
グラスウールの断熱効果はどれぐらい?
一部グラスウールは「経年劣化で結露が生じる」「だから断熱効果が長持ちしない」という情報も。
ただそれは断熱材の正しい施工方法を十分に知らない業者が昔は多かったということで、グラスウール自体に問題がある訳ではありません。
またグラスウールより性能は良いが高額である断熱素材をアピールする為に、グラスウールを欠陥のように扱う例もあるようです。性能が良く高額な断熱材が悪いのではありませんが、あくまでも「住宅の条件に見合った素材」を選ぶべきでしょう。
実際、グラスウールがあらゆる断熱材の中で一番断熱性能に優れる建材かというとそうではありません。ウレタンフォームなど、断熱性能だけでは他にも優秀な素材はあります。
しかしグラスウールの熱伝導率は0.036~0.05 W/mKまで幅がある事も特徴。
どうして幅があるかというと、使用場所や用途によってベストなサイズや厚みを選べる加工がしやすいからで、これがグラスウール最大のメリット。
同じ断熱効果を得るのでも、かけられる予算によって断熱材の厚みが変わってきます。限られた予算の中で、どの厚みどのサイズを選べば高い断熱効果が得られるか?を、考える事ができるというわけ。
(また、こういう視線をもって素材を選べる業者が良質な工務店を見分ける指標にもできますよね。)
グラスウールは、そんな柔軟な対応を可能にする性能とコスパを持っているからこそ、主流の断熱材になっているのです。

