ポリスチレンフォームとは、簡単に言ってしまえば「発泡スチロール」のこと。鮮魚を入れる箱などに使われることからも分かるように、優れた断熱性能と耐久性を持ち合わせた優れた素材です。
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ポリスチレンフォームとは?
ポリスチレンフォームとは、ポリスチレンが主原料となった発泡プラスチックの一種です。湿気に強いので床や土間、外壁の断熱材として使われます。
ポリスチレンフォームには2種類あります。ひとつはビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)と、もうひとつは押出し法ポリスチレンフォーム(XPS)です。これらは「発泡スチロール」として有名。
どちらもポリスチレン樹脂から作られますが、用途が少し違っていて。EPSは加工しやすいということ。金型を使って成型できるので、単純な敷き詰めでは対応できない場所に施工できるメリットがあります。
一方、XPSは板状になっていて、EPSよりずっと硬い建材。その特性を生かしてコンクリートを枠内に流し込んで固める「コンクリート打ち出し」という施工でも使うことができます。
発泡スチロールに耐久性なんてあるの?と思われるかもしれませんが、実は高速道路や空港の滑走路でも使われる位高い強度を持っている素材です。
ポリスチレンフォームの断熱効果はどれぐらい?
ポリスチレンフォームは断熱性能に優れた素材です。熱伝導率を見てみると、おおよそ0.028~0.043 W/mK です。
コンクリートの熱伝導率は1.6W/mKなので、発泡スチロールはコンクリートの10倍以上の断熱性能を持っているということになります。
俗にEPSは時間がたつと空気が抜けるから性能がさがるという説もありますが、それは空気が抜けるからではなく発泡スチロールの収縮が起こるから。
断熱性能自体が落ちたというより、発泡スチロールの収縮によって生じた隙間から熱が逃げるのです。発泡スチロールは成型直後、2~3mm収縮します。
これは収縮後は安定し、300日~400日で収縮率0.4%以下になるのですが、通常出荷される発泡スチロールは収縮がほとんど収まったものなので、特別気にする必要はないものです。
また、今からおよそ60年前の1957年にも「EPSの使用実績」が。南極昭和基地の建材として使われたのがEPSでした。
観測隊が任務を終えた後調査したところ、南極という過酷な環境下にありながら、EPSの性能にはほとんど劣化が見当たらなかったとのこと。しかも、観測隊の調査期間は40年間にも渡る長期的なものでした。そんな事実からも、EPSの耐久性の高さが伺えるはずです。

